1.はじめに
2.結論
3.原因と人数
4.呼吸の仕組み
5.ゴムの異常
6.特徴と症状
7.いわき市
8.まとめ
お仕事に関連して『間質性肺炎』って,いったい何?
お友達の疑問に応えるため,簡単に纏めてみた解説.
そこそこ判り易く書けたかな~と思ったのでここに公開.
けど,ネットにもたっくさんの詳しい解説ページ.
たとえば,「わかる、つながる、肺線維症」の,「病気が起こるしくみは?」 は判り易いかと思います.
なのでここはその玄関,ロビーでのんびり,のような雰囲気でお読み下さい.
いきなり結論.
通常のほこり程度では間質性肺炎にはなりません.
まずはご安心を.(∩.∩)
原因としては,
特発性:そもそもその原因を特定出来ないタイプ.
膠原病:SLEなど膠原病や慢性関節リウマチが原因で発症するタイプ.
過敏性:カビや鳥の糞などに対するアレルギーで発症するタイプ.
薬剤性:おクスリ,漢方薬,サプリメントなどで発症するタイプ.
その他:サルコイドーシスと呼ばれる病気の他,職業性のもの.かつては粉塵の多い特殊な職場,鉱山,炭鉱,石材業,建築業,解体業などで,粉塵,主に土埃,金属粒,石炭,石英(シリカ),石綿(アスベスト)などを吸い込み続けてこられた方に発症するタイプ.
これらが考えられています.
どれほどの方がこの病気になるのか,というと,これも諸説があります.
大まかに調べたところ,人口10万人の内,3〜9人,11.8人,10〜60人とかなりバラバラですが,それほど多くはない,という印象で捉えています.
さて,ここで呼吸っていったいどんな事?
肺の中にある,小さな小さな風船のような「肺胞」
その大きさは0.1mmほど.
その肺胞の周りを,血管の肺動脈(酸素は少なく,二酸化炭素は多い)が囲んでいます.
空気から取り込んだ酸素は,肺動脈を流れるヘモグロビンに取り込まれます.
ベルトコンベアの箱に,荷物が入るようなイメージでしょうか.
血液中の二酸化炭素は肺胞に気化します.
炭酸水の気が抜ける,全く同じ現象です.
そして呼吸をする度に,これが繰り返されるのです.
ところが肺胞の壁,風船でいえばゴムの部分に異常が起きる事があります.
空気と血液の間,に起きる異常なので「間質性肺炎」と呼びます.
ゴムはその特性上,劣化すると硬く,脆くなります.
実際の肺も同様,軟らかい風船が硬い毬に変わるが如く,異常な状態へ変化します.
ただ肺炎とは呼んでも,抗生剤が効くような通常の肺炎とは全く違います.
原因の特定や治療が難しかったり,治りにくいのが特徴です.
当然,酸素の取り込み,二酸化炭素の排出は共に減ります.
とても呼吸が苦しくなる理由です.特にちょっとしたことでの息切れ.
治療で治る間質性肺炎もあるけれど,ゆっくりと悪くなって往く事のほうが多いでしょうか.
その隙間に繊維成分が増殖し,治らなくなる時もあります.
この治らない状態を「慢性間質性肺炎」とか「肺線維症」と呼びます.
生涯,24時間365日,酸素を吸わねばならない,厳しい状況です.
さて,ほこり,に戻ります.
いわきは炭鉱の町.細く長く続く坑道は,とても換気の悪い場所..
そしてそこには沢山の粉塵,特に細かな石の粉塵.
これを吸い続け,繊維化し,硬くなった肺を「塵肺(じんぱい)」
症状が強くなった状態を「塵肺症」と呼びます.
この中でも特に「石英(シリカ)」比較的透明な石.
このシリカで起きる塵肺を「珪肺」と呼んでいます.
また天然に存在する繊維状けい酸塩鉱物「石綿(アスベスト)」.
建築に使われた素材.これによる塵肺を「アスベスト肺」と呼びます.
これは特に,悪性の中皮腫や肺がんに移行するため,厳重に管理されます.
これらの粉塵やほこり,そのほか花粉,ウィルスや細菌を身体の外に排出するのが咳や痰.
痰はこれらを水分でからめ取り,咳で排出します.肺の防御システム.
なれど,さすがに限界はあります.その限界を超えると間質性肺炎を発症するのです.
日常聞き慣れない一方で,治療の難しい間質性肺炎.
ただ,普段の環境,普通のホコリ程度では発症しません.
ましてやこのご時世.不織布マスクの使用も既に日常.
職場環境の安全を厳しく守る法律もあります.
どうかご心配無きよう.