「記号+頭2文字」の法則で辞書に登録すると.長い固有名詞や住所,電話番号などを入力する際,超簡単でしかも正確.その結果,書類作成のストレスが激減しますよ〜.
目次 Table of Contents
1.とにかく細かくて長い
2.求むは速さより正確性
3.気付けば,それは簡単
結.「記号+頭2文字」の効果
1.とにかく細かくて長い
病院やクリニックで扱う文書には,電子カルテ,処方箋,診療情報提供書,療養費用診断書,各保険会社への診断書,などなど.
文書の作成に際し求められる,様々な固有名詞の数々.
それが・・・医療界では異常に 細かくて長い!
書く側としたらこりゃもう,堪ったもんじゃない.
ウナギは美味しいけど.
● 例えば病院の名前.
かつては「〇〇病院」などと,確か非常にシンプルだったかと.
なれど今はかなり複雑に.
その一例.
『公益財団法人 ときわ会 常磐病院』
これで14文字.
でも実際の打ち込みは
kouekizaidannhoujinn tokiwakai joubannbyouinn
一挙に43文字に爆増.
● 例えばおクスリの名前.
医療費削減のため,強固に進められているジェネリック化.
結果その名前,非常に長い一般名,もう憶える事萎える長さ.
その一例.
『ベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステルクリーム0.05%』
ふう,これだけで31文字.
で,実際の打ち込みは
betametazonnrakusannesuterupuropionnsannesuterukuri-mu0.05%
なんとなんと57文字.
昔は「アンテベート」で済んでたのに,とほほ.
老眼の私には拡大鏡が必要です
● さらに漢方薬.
「とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう」という名のおクスリ.
漢字では,『当帰四逆加呉茱藇生姜湯』で11文字.
試しに数えてみたら(ヒマか!)
6+10+5+9+5+7+9+9+5+9+12 = 全86画数
昔はこれ,手書きしてたんですよ,処方箋に,手書き.
けど,キーボードになってもやはり,打ち込みたくないものは打ち込みたくない.
だって,toukisigyakukagoshuyushoukyoutou の32文字.
薬剤名が,満員電車のように窮屈.(^_^;;;;;
2.求むは速さより正確性
当然,長〜い名前をサクサクと入力し,颯爽と仕事を終わらせたい.休みたい.
患者さんやご家族だって,診察が終わったら少しでも早く帰りたい,寛ぎたい.
ですよね.
けどカルテ入力や書類作成で感じるとても堅い壁.
それは 正確性.
固有名詞だもの,間違うわけにはゆきませぬ.
たとえ一文字すら,間違えるなどという非礼は絶対に避けたいもの.
病院,診療所,介護保険施設,老人ホーム.調剤薬局,その他の様々な関係機関.
部署,氏名,住所,電話・ファクス番号,メルアド,諸々.
さらに処方薬
命を預かる重要なおクスリだもの,間違うわけにはゆきませぬ.
公益財団法人 日本医療機能評価機構 による「再発・類似事例の分析」第57回報告書(2019年)で,名称類似による「薬剤の取り違え」(医療安全情報No.4、68)が纏められています.
ここでは2016年10月〜2019年3月の期間に,計7件の「薬剤の取り違え」が報告され,分析されています.
その理由・原因は様々ですが,取り違えを限りなくゼロに近づける為には.まず処方する我々医師が正確に承知し,工夫や努力を徹底することが何より重要でしょう.
かつての私のクリニック
私事,2005年の3月クリニック設立準備と4月の開設の際に爆増した,事務仕事量.
紹介状や診療情報提供書,処方箋,主治医意見書,保険会社への診断書など
手術室が主戦場の麻酔科医には,ほぼ無縁だったこれらの書類.
なのでここからが大変.繰り返し確認を要したお名前.
● 例えば個人「姓」なら,
「渡辺」か「渡邉」か「渡邊」か「渡部」か. 読み方も「わたなべ」か「わたべ」か.
「斉藤」か「齊」か「齋」か. 「小沢」か「澤」か, 「白土」か「圡」か「戸」か・・・
● 例えば個人「名」なら
「一郎」か「朗」か. 「恵」か「惠」か. 「祐」か「裕」か・・・
● 例えば「施設名」なら
「医療法人社団」か「社団医療法人」か. 「医院」か「クリニック」か.
「皮膚」か「ふ」か「フ」か. 「泌尿器科」か「ひ尿器科」か.
失礼無きようとするは,かように気を遣いまするな.
3.気付けば,それは簡単
ところで「@」,いわゆるアットマーク.
使用するようになったきっかけは恐らく,メルアド.
他になんの使い途も無かった「@」
でもそうか!,これ使えるかも.と突然の閃き.
そこから20年.カルテや書類を書く度,コツコツ,コツコツと辞書登録.
そう,私の解決方法は記号を活用した辞書登録法.
それは「記号+頭(かしら)2文字」.
今の私のルールは2つのみ
1.施設名は「;+頭(かしら)の2文字」
2.薬剤名は「@+頭(かしら)の2文字」
これだけ
使用例
1.入力を「;じょ」とすれば,変換候補に「常磐病院」
2.入力を「@べた」とすれば,変換候補に「ベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステルクリーム0.05%」
変換は固有名詞だけでなく,いろんな情報にも応用できて楽ちん.
郵便番号,住所,電話番号,ホームページ,電子メール
さらには「施設名 + 相手氏名 + 様」なんかもOK!
使用例
1.「;たけ」の入力で「福島県いわき市平字堂根町2-1 デュオヒルズいわきザ・レジデンス2F」へ変換.
なんと31文字分も節約.
2.「;じょ」の入力で「972-8322 福島県いわき市常磐上湯長谷町上ノ台57番地」へ変換.
なんと27文字分も節約.
どう?メッチャ楽でしょ!
そして確認したらあれ?というほどたくさんの辞書登録.
1.施設名は 約480組以上 (住所や電話番号も含みます)
2.薬剤名は 約310組以上
ま,たまに小さな登録ミスを見つけるものの,ストレスや入力時間の激減は確かですよ〜
結.「記号+頭(かしら)2文字」の効果
「記号+頭(かしら)2文字」の活用で,期待できる効果を纏めると.
1.先ほど書いたように一番は正確性,でしょうか.
同じ固有名詞を何度も書けば,時にはそりゃ間違う事も.
けど正しく辞書登録すれば,その可能性はゼロ,ゼロに出来ます.
2.次は入力時のストレス軽減,でしょうか.
特に時間の節約は効果絶大.
仮に間違えての訂正も1秒以下.
集中力が途切れなければ,効率も上がりさらなる時短.
3.時短で浮いた時間を他の目的へ.
次の仕事へ移ったり,休息に使ったり.
スタッフと談笑したり,早く帰宅したり.
その選択は自分次第.
4.共用PCでのマナー遵守
簡単・正確な入力を共用PCでも続けたい.
けど辞書の変化で,他の人が使いづらくなったらマナー違反.
その為にも入力機会の少ない記号を活用,
そんな記号を使っての辞書登録,これならセーフ.
さてこの「記号+頭(かしら)2文字」.
同じ様な方法で効率を上げている方も多いでしょう.
もっと洗練された方法の方もいらっしゃるでしょう.
私の場合,診察での使用が90%程.
でも皆さんの様々な環境,それこそ,
一般事務や原稿作成,プログラミングとかプレゼンテーション資料作成
において,これまた様々なアイディア,チップス,コツなどで工夫されている事と思います.
よろしければ皆さんの
「お気に入りのショートカットキー」や
「入力方法の効率化作戦」
ぜひぜひご紹介ください.