【 要旨 】
職場におけるハンコ文化がデジタル化を阻害し,非効率性を生んでいる事に対する筆者の体験と反抗策を綴りました.紙の文書とハンコの無意味さにも関わらず,ITツールでの効率化の試みた際の,職員の抵抗やハンコ制度の根深さ.それでも,デジタル化の受け入れはもう避けられない大きな課題なのです.
目次 Table of Contents
1.はじめに
2.レガシーハンコ
3.ハンコの問題点
4.ハンコ点きへの反抗策
5.終わりに
1.はじめに
以前,ある組織で指示していた職場,残念ながら
IT(Information Technology)
とはほど遠い職場だった
とても残念なことに
高価なPCは単なる清書マシーン
頻用するデータの二次利用は視られなかった
唯一敷居の低いツール LINE
なので依頼した文書を送ってくれたのは LINE
「おおお良かった,こりゃ楽ちん」
と思ったら「ハイ」と渡された印刷物
棄てるだけが運命の書類を渡された現実
崩れ落ちそうなほど愕然とした記憶
印刷に要した意識,時間,紙,インク,電気
その全てが無駄と無意味という意味
即座に説明したけれど
私の説明では終ぞ変えられなかった状況
なので他の施設で指示するようになった際
そこで進めた方針
アナログ過ぎるFAXは休止
記録の残らない電話よりはメール
既読の分からないメールよりはSNS
個人情報保護にのために 医療・介護専用SNS
ZOOM会議もあるので文書作成は A4横
資料の保存は紙で無く PDF
けどこれがまた難しく,浴び続けた抵抗
それでも推した 医療・介護専用SNS
これに関しスタッフからの提案
スタッフ「勉強会を開きませんか?」
私「??? じゃ,LINEは勉強会開いてから始めたの?」
スタッフ「・・・」
提案という名のやんわりした拒否だった・・・かも
実質GDP世界3位の日本
それが一人当たりになるといきなり32位
垣間見える・・・現実
2.レガシーハンコ
先の LINE が唯一の職場で
仕事の一つだったのが「ハンコ点き」
職員同士で必要な書類の回覧
紙の文書に目を通し確認の印を,押す
説明するまでも,無し
名前の通りそれだけの,作業,押印
それでもハンコを点く回数
書類を溜めてしまうと結構な量
試しに数えてみたハンコ点きカウント
そしたら2回の点き間違いを含め
なんと合計84回
ただ
それらの資料を全て読み,理解してからの押印
な〜んて・・・あはは,無理,絶対無理
そんなハンコ点きは夢のまた夢
こちとらしかも無給だし
一部の書類は殆ど読まれることも無く
ただハンコで点かれるのみの書類達
3年くらいは言われたとおりにハンコ点き
けど,4年目頃から目指した改善
改善,という名の反抗
何故なら,期せずして耳に飛び込んだひと言
「書類は,事務の方がスキャンして保存してくれてるんです」
極度めまいに襲われたあと
「えええ,そりゃ良かった,こりゃ楽ちん」
なぜなら,ハンコを点く書類はほぼ2種類
「公的文書」と「私的内部文書」
ならばその「私的内部文書」に限れば
スキャンしたものを医療・介護専用SNSで見れば良い
これならわざわざ職場に向かわなくても
日中の仕事を終えて出向かなくても
「家でも読めるじゃん」
しかも「既読」は印鑑の代用になれる
奇しくも同時期のデジタル庁
河野大臣のアナウンスはおおお,印鑑廃止!
ステキ!
けれど・・・この職場には届かなかった
4年間,1mmも,1秒も動かせなかった
結局退職の日まで,減らせなかったハンコ点き
異次元の完敗!
3.ハンコの問題点
そもそも印鑑が重要視されるは
世界で唯一日本のみらしい
印鑑不要で何一つ問題の無い他国
一体どうしてるんだろ,全く想像つかず
そしてその弊害がはっきり見えたコロナ禍
仕方なく選択されたリモートワーク
家で出来る仕事は家で,結果
「えええ,こりゃ楽ちん」
会議ですらリモートでいいんだ
・・・と,思えたはずなのに
押印の為だけの出社,奇妙な,事態
そこに疑問を感じない昭和世代のオジサン,オバサン
私の私見
世界最悪の生物は・・・オジサン
ならば
世界最強の生物は・・・オバサン
しかもここに孕む,重大な事実
押印だけなら誰でも可能
押印しただけで読解したとされる認識
認めていないのに半ば義務的,静かな強要
費やされる無駄な時間とガソリン
印鑑制度を維持する為の膨大な職員と予算
(実印の印鑑証明制度)
他にも
「時間外勤務 命令 簿」なのに
事実上『残業追認簿』への押印
仮に何か起きてしまった際
「押印してるのだから知ってましたよね
それに
理解したから押印したんですよね」
ぐうの根も出せぬほど責められるのだろうか
シクシク💦
4.ハンコ点きへの反抗策
オヤジギャグはさておき
少しでも無駄な押印を減らすにはどんな手段があるか
今時はやはりアプリでしょ,アプリ
条件は
1.無料:無料ならめちゃ低い初期導入への敷居
2.携帯:携帯機器で確認できれば出先でも便利
3.簡単:簡単に使えればマニュアル無しでOK
4.容易:容易に回覧を既読確認できれば楽ちん
最低限これらは必須
以上4つの条件を満たす手段は私の知る限り,三つ
お勧め度 | SNS(アプリ)名 | 費用 | 携帯機器 | 簡単 | 容易 |
---|---|---|---|---|---|
1位 | Medical Care Station ( 以下 MCS ) | 無料 | ◎ | △ | ◎ |
2位 | Meta Messenger | 無料 | ◎ | 〇 | ○ |
3.5位 | LINE | 無料 | ◎ | ◎ | ▲ |
これらアプリで減ると踏んだハンコ点き
決して
「既読」=「開封」あるいは「通読」もしくは「理解」
ではないけれど,これらが持つ明らかな強み
内部資料を添付しメンバーに送付
「既読」が点けば押印と同じ意味
経費はもちろん全てタダ
PCのほか携帯機器での利用も全てOK
簡単さでは3.5位の LINE がピカイチ
なにせ使用頻度が頭三つ飛び抜け
他方 MCS は1位なれどユニークな分やや高い敷居
ではなぜ私の評価で MCS がダントツか
それは既読確認のずば抜けた容易さ
LINE での表示は既読者数のみ.これが残念
なので推薦度3位ではなく「3.5位」とした由縁
推しの MCS は人数を押すとなんと既読者を明示
情報共有を目的とする回覧とその確認
それにはこの既読者明示がとにかく便利!
2位Meta社の Messenger
これは人数こそ表示しないものの,既読者の確認は可能
それが2位の理由
ただ確認のアイコンが小さすぎ
業務の利用にはちょっと厳しそ
欠点は少ないものの,大きなアドバンテージも無い印象
Messenger は使っていいけど Facebook は嫌,という方へ
Messenger を使うには Facebook のアカウントはどうやら必要.けれど持ちたくない,使う気も無いという方もいらっしゃるかと.そのような方にはこんな記事を見つけました.
アカウントを開設後 Messenger を使用できる状況を確認したら, Facebook のアカウントを「利用解除する」ことで ,Messenger だけの利用が可能なのだとか.これなら無用な通知に辟易する事も,アカウントの乗っ取りに困る事も無いようです.良かった〜.
詳細はここで.「Facebookから退会した後もFacebookメッセンジャーだけ使うことってできるの?」
さて1位の MCS に戻ります
これは元々医療介護用コミュニケーションツール
なので特色は個人情報保護が凄い!
書類の中に個人情報が記載されていてもOK
VPN(Virtual Private Network 仮想専用通信網)
この利用で個人情報を保護
そのセキュリティは厚生労働省のお墨付き
基本は医療および介護・福祉関係者向け
医師 看護師 薬剤師 ケアマネ 介護士 自治体職員
しかしなんと患者・家族も使用可能
ということは,縛り無く一般の方々でも使用可能
欠点はその操作がややユニーク
けどこれも慣れればなんの課題も無し
なので格別のお勧め,1位の理由